強迫性障害と行動療法について

 私の強迫観念は主にはHIV(AIDSウイルス)が移ったのではないか、というものです。
 HIVを恐れ、洗浄強迫がどんどん広がり、また家族すら汚いと思い、とてもとても苦しい生活を
何年も送りました。家族との共有物は一切触れず、手ばかり(100回以上)洗い、お湯を使い石鹸
は欠かせませんでした。一回来た服はすべて洗濯しました。バッグやひどいときは靴さえも。
家族が汚い、という強迫観念に悩まされました。私は本当は兄弟や親が大好きなのです。
自分自身すごく矛盾していると思いました。
 今では、ずいぶん回復しています。主治医と応援してくれている家族のおかげだと感謝の思い
でいっぱいです。
 あちこちの病院を受診し、入院を繰り返しましたが,基本的には悪くなるばかりでした。ある日
主治医から、新しい病院と先生を紹介されました。
 私はまず、エクスポージャーと儀式妨害に取り組みました。自分の一番怖い観念を強めるので
す。
 私は、HIV,AIDSでした。主治医から「自分のことをAIDSになってしまった、と思うことにしよう」
と言われました。それを何度も慣れるまで考えようというのです。最初はカセットテープを使う方
法を先生が提案しました。とてもとても一人でなんて聞くことのできないぐらい怖いストーリーを
吹き込んだテープを先生が作りました。これを自宅で聞くことが宿題になったのですが、テープを
もっているだけで体が震えて結局、一度も自宅で聴くことはできませんでした。次は、テープでは
なく、怖い観念を紙に書き出し、それを何度も読み返すことを先生が提案しました。これは、自分
一人ですることができました。
 これを通じて、私が学んだこと、観念が沸いたときに、決してそれを否定しないことです。観念
のわくまま、任せるのです。それはとてもいやなことに思えますが、観念を否定しよう、逆らおう
とすると反対に観念は追ってきます。観念のままにすることは、怖い感じがします。でも、最後
は、この方が楽になるための近道なのです。

あと、確認行為に悩まされている方へ!
 確認はすぐすぐ今すぐにでもしたくなります。私にも今だにその気が少しあります。でも、我慢
しています。
確認しだすと、とまならくなり、考えが広がります。次の観念が沸いてきて、収拾がつかなくなり、
ドツボにはまります。
 最初は難しいと思います。私もできずに悩みました。でも、一回やってみてください。絶対、大
丈夫です。
 私も、強迫性障害はまだまだ完璧には治っていません。治療の途中の段階です。いつもいつ
も頭の中にもやもやが
かかっていてすっきりしません。いやな感じです。でも、自分の力と主治医と行動療法のやり方を
信じてゆっくりいきたいと思います。みなさんもがんばってください。どん底にいた私が、そう思う
のですから。

2004年12月

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