≪第5回OCDの会研修会・第6回市民フォーラム≫

【場 所】:愛知県産業労働センター「ウインクあいち
          愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38
【期 日】:平成21年12月5日(土)〜6日(日))


【研修会の特徴】
今回の1日目は家族が治療を動機づけたり症状の悪化を防ぐために有効なコミュニケーションスキルを学べる行動療法基礎講座です。
2日目は実践形式のワークショップも交えて行います。マインドフルネスを用いた儀式妨害や地下街でのエクスポージャーなどを予定しています。患者の方も若干名、この行動療法実践編講座の受講が可能です。学生や一般の方々から治療者までそれぞれのレベルやニードに応じて基礎・実践・症例検討の3つのプログラムを個別に受けられるよう企画しました。
OCDの会では、今回の研修会を通じて、強迫性障害に対する理解と行動療法がさらに広がる事を期待しています。


【日程】
1日目(12月13日)
家族のための行動療法基礎講座
 基礎講座は、これから強迫性障害に対する行動療法を行なうために必要な知識を学ぶ集団教育プログラムです。特に今回は家族が治療を動機づけたり、症状の悪化を防ぐために有効なコミュニケーションスキルを学べる行動療法基礎講座です。
医療関係者や学生も受講可。午後からは実際に治療が終わった数名の患者さんや家族の体験談も予定しています。
10:00〜  受付
10:30〜11:30家族のための  ≪講師:原井≫
コミュニケーションスキル講座
11:30〜12:30 昼食
12:30〜16:00 行動療法基礎講座 ≪講師:岡嶋≫
16:00〜16:30 質疑応答・まとめ 


症例検討会

13:00〜17:00 症例検討会 ≪講師:原井≫

第5回市民フォーラム
18:30〜20:30(質疑応答含む)
『児童期のOCD』
杉山登志郎先生( あいち小児医療保健総合センター保健センター長兼心療科部長)
『人の中で治す 強迫性障害の集団療法』
原井宏明先生(なごやメンタルクリニック院長 )


2日目(12月14日)
儀式妨害の新しい工夫実践的ワークショップ
9:30〜12:00 マインドフルネスを用いた儀式妨害≪講師:原井・岡嶋≫
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:30 体験型デモンストレーション及び解説(地下街でのエクスポージャーなど)
15:30〜16:00 質疑応答・まとめ・修了書授与
※デモ患者さんの都合により、ビデオの解説になることもあります



     

           



【デモ患者をして下さった患者さんの感想】
 私は長い間、中学時代のものから逃げていました。集中プログラムを受けて少し前進したものの、それは対峙できない恐ろしい汚れでした。怖い記憶を思い出さないよう、私はずっとそれを封印してきました。
 一番恐れている汚れを早く克服すべき、と先生からアドバイスを頂きました。
デモ患者のお話を頂いた時には、正直先延ばしにしたい、逃げたい気持ちでいっぱいでしたが、「沢山の方の前でなら勇気が出るかもしれない」と思い直し、参加することにしました。素手ではとても触ることのできない中学校の卒業アルバムを、時間をかけて厳重に梱包し、郵送しました。
 当日、挑戦が始まりました。私は恐ろしさから「今、中学の汚れに触らなくてはいけない理由がわかりません」とお話しました。すると先生は「アルバムに触ったらどんなことが変わる?」とおっしゃいました。私は「長年避けていた中学の友人に会うことができる」と思いました。それが私の勇気になりました。泣きながら、梱包のビニールを一枚ずつ剥いで行きました。一枚剥ぐ度に先生は「中学時代のみーちゃんを見てみたい」と言って下さいました。それもまた私の勇気になりました。
 最後のビニール袋からは、アルバムをなかなか出せませんでした。触るのが怖くて沢山泣き、私は何度も手を止めました。先生のアドバイスで一番大切にしているぬいぐるみを袋に入れました。汚れと一緒になったぬいぐるみを取り出し、抱きしめました。そして抱きしめたまま、アルバムを袋から取り出し、膝の上で開きました。アルバムの中には、病気になる前の私がいました。それを見て、今までの長い道のりを思い出し、また涙がこぼれました。
 デモ患者を経験してから一ヶ月が経ちました。当初は「汚れに触ったことは間違いだった」「私は汚い人間になってしまった」と強い後悔の気持ちがありました。その気持ちを上手く処理できず、部屋にこもって悩んでばかりいました。けれど「汚れた自分を受け入れなさい」「後悔したまま前に進みなさい」という先生の言葉を信じて、今はその練習をしています。
 デモ患者としての経験は、私にとって忘れられないものとなりました。中でも挑戦中、先生からの一言一言がどれほど私の心を動かしたか、今振り返りながら改めて感じています。十年以上もこの病気を抱え、わずか数ヶ月前まで「死んでしまいたい」と思っていた私が、ようやく一筋の光を見つけ、歩き始めています。原井先生、岡嶋先生に巡り会えたことを神様に感謝しています。先生方に心から御礼申し上げます。またこの場を設けて下さったOCDの会の皆様にも感謝しております。本当にありがとうございました。       (みーちゃん) 





私は自分の排泄物が汚く、それが周りに広がり汚染されていく事を恐れていました。なので、参加者の方全員を巻き込むと言う恐ろしいエクスポージャーをしました。
 デモでの経験をしていなければ、恐ろしくて悲鳴を上げていたと思います。
 その後、汚れたまま猫と布団で眠りました。朝まで1度も目を覚まさずにぐっすり眠る事が出来ました。
しかし翌朝起床してから、いつもの通りシャワーを浴びてしまいました。バケツを洗ってしまいました。服を洗濯してしまいました。布団までも洗ってしまいました。
 今までと変わる努力をしませんでした。デモ当日の皆さんの好意を踏み躙ってしまいました。
 本当に取り返しのつかない事をしてしまいました。デモ患者失格だと思いました。
 沢山の方に汚れを広げて、迷惑をかけて初めて気が付いた事があります。
 他人に汚れを広げるのが最も恐ろしい事だと思っていたのですが、実は自分自身を自分の汚れから守りたいのだということです。
 ですから、積極的に自分自身を自分の汚れで汚して行かなければならないと思いました。しかし、それがなかなか出来ないでいます。
 一度に変わることが出来ないので、少しずつ変えて行こうと決心しましたが、日常の儀式行動を少し変えたり、減らしたりする事で、ごまかしている気がします。根本的な事から逃げているのです。
早くきちんと正面から向き合えるようになり、デモで応援してくださった方々に応えたいです。            (おちゃ)

※ おちゃさんの詳しい経過は、名古屋OCDの会の掲示板に載っています。そちらをご覧下さい。




<市民フォーラム・研修会の司会の感想>
司会を引き受けたものの、正直後悔の日々でした。昨年の東京の市民フォーラム・研修会での人の多さを見ていましたから。
しかし、よくよく考えずとも私が主役ではないことは明白なので、気楽に行こうと決めました。
ただ、頭で分かっていてもいざ始まってみると、緊張することしきりで、冷や汗がタラタラと。大勢の中での司会がこんなにも大変なものだと、正に人の中で知りました。    (MIKE3)

<名古屋スタッフの感想>
研修会お疲れ様でした。
息子も一緒にスタッフとして手伝いしましたが、息子にとって何か多くのことを感じ、身に付けてくれたと信じております。
熊本の皆様にお目にかかれて前向きになったようです。息子の強迫の治療の原点は熊本にあると実感しました。          (藍)



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