≪第11回OCDの会研修会・第12回市民フォーラム≫

●第12回市民フォーラム

日 時 :  2015年12月12日(土) 1230受付 13:00〜17:00(質疑応答含む)
会 場 : JR 博多シティ10階会議室
定 員 : 140名 参加費 : 無料   

『OCDの理解と治療?最近わかってきたことを中心に?』  
中尾 智博先生 (九州大学病院精神科神経科講師)

『強迫性障害の治療のさまざま―どんな治療を受けるかを決めるために:3日間集団集中治療というオプション』  
原井 宏明先生 (なごやメンタルクリニック院長・ハワイ大学精神科臨床准教授)

『「生活」に着目した行動分析学による援助技術-不登校、行動障害、強迫性障害- 』  
奥田 健次先生(行動コーチングアカデミー代表/桜花学園大学大学院客員教授)
 



●第11回OCDの会研修会

WS-1
「家族のためのコミュニケーションスキル講座 パート2」
      講師:原井 宏明先生  時間:9:30-12:30  定員:70名

病気に苦しむ家族がいれば,その人に対してどうにかしてあげたい,と思うのは普通のことでしょう。人が苦しむさまを見るとき,その人を愛し子のように大切に思えば思うほど,その思いは強くなります。その人のためには己の命も差し出せるような献身的な慈愛と言えるでしょう。「私が生み育てた」「私が衣食住を与えている」「私がいなければこの人は生きていけない」と強く思えば思うほど,そこまでしてあげているのに「どうして私の思う通りにしないのか?」というような怒りのような気持ちが沸くようになります。親の愛は厳しさも伴います。
でも,献身と厳しさがあれば,人が思うようになると思ったら,それは大間違いです。この二つは人を助けたいという動機としては良いものでしょう。しかし,やり方としては相手を逆の方向に向かわせてしまう困りものです。にもかかわらず,うまく行かないと分かっていても,家族はこのやり方を続けてしまいがちです。献身と厳しさは罠にもなるのです。
家族がこの罠から逃れ,大切な人が治療に向かっていくようにするためには四つのことが必要です。
1 献身と厳しさの罠に気づく 良いことをしているという自覚に騙されない
2 どれだけ病気が重くても,それも相手の自由意志の表れとして尊重する敬意と共感
3 相手の行動,言動の変化に注目し,変わるところを見逃さない注意深さ
4 相手の変化を促す戦略的な言い方,ポジティブな言葉づかいと聞き返し,開かれた質問
動機づけ面接のDVDを利用しながら,あなたのコミュニケーションスタイルが変わり,あなたの大切な人が変わっていく見通しがつくところまでをこの講座でサポートします。


WS-2「エクスポージャーと儀式妨害の基本のキ」 
       講師:岡嶋 美代先生  時間:9:30-12:30  定員:70名

エクスポージャー療法とは,刺激を提示してその刺激に対する反応を変化させていこうとする”やり方”の総称です。不潔恐怖の治療の場合は,汚れたまま我慢することだと思われがちですし,多くの治療者もそのように誤解しています。なぜ誤解と言い切るかというと,その考え方ではうまく行かないからです。
 様々な症状に対するエクスポージャー療法の例を示しながら,どのような症状にどのようなエクスポージャー刺激が存在するのかを見ていただこうと思います。そして,エクスポージャーというのは,それほど特別なことをするのではなく,日常生活の中にある本来は普通の刺激だったものに触れていくことなのですが,そのとっかかりはどんなことでもよく,小さなルールの崩し方を見つけていくのがコツとなります。回避して強い刺激だと錯覚していたものを避けずに行えるようになるために,接近を繰り返していくことを教えるものです。これだけで多くの強迫症状には効果を残せるように思います。ルール崩しと接近のコツについてお話しようと思います。
 また,儀式妨害を行うことそれ自体にエクスポージャー効果が生じますので,上手な儀式妨害が結局のところ強迫症を治療するかなめとなるのは昨年のWSでもお話した通りです。強迫儀式を妨害すればそのぽっかりと空いた時間を持て余さないようにしなければ,効果を継続することができません。今年はまた新たに取り入れている儀式妨害のための暇つぶしをマインドフルネス・トレーニング以外にも色々と提示したいと思います。



WS−3「苦手」を克服するための行動分析学の基礎原理」

       講師:奥田 健次明先生  時間:13:30-16:30  定員:140名

過去の本研修会にて、強迫性障害について行動分析学で用いられる「行動随伴性」の枠組みから悪化するメカニズム、改善するメカニズムを紹介した。「阻止の強化」による弊害として紹介し、その後、これは拙著で詳しく紹介している(『メリットの法則-行動分析学・実践編』集英社新書)。ちなみに、それまでの教科書では「阻止の強化」について解説したものは稀で、その弊害について解説した教科書は上記の『メリットの法則』が初めてである。
 今日に至るまで、こうした理論的分析は実践レベルで自在に利用できるようになってきた。同時に、ヒトを含めた動物が健康な生活を送るための行動随伴性の種類についても、今まで以上に明らかになってきている。これらの知識や技能については、医師ならびに心理職や教師、当事者や保護者などが知っておくと大いに有益であるため、これまでの知見をいくつかの事例を取り上げつつ紹介する。
 さらに、健康な生活を阻害するような諸問題を「上書きするような
方法」で、まったく新しい行動随伴性を設計していくことの有用性について紹介する予定である。

日 時 : 2015年12月13日(日)  9:15受付 9:30〜16:30(質疑応答含む)
会 場 : JR 博多シティ10階会議室 福岡市博多区博多駅中央街1-1
受講料 : 各講座 一般 4,000円 ・ 対人援助職 5,000円


講師紹介


奥田 健次
行動コーチングアカデミー代表/桜花学園大学大学院客員教授

1994年から訪問型心理相談業務を開始。2000年から大学助手,2005年から准教授,2012年大学院客員教授。法政大学大学院、早稲田大学、愛知大学などで教鞭をとる。2011年、西軽井沢にあった廃校を行動コーチングアカデミーとして再生し、2012年に開校。
1999年、内山記念賞(日本行動療法学会)受賞。2003年、日本教育実践学会研究奨励賞受賞。2008年、第4回日本行動分析学会学会賞(論文賞)受賞

原井 宏明
なごやメンタルクリニック院長・専門行動療法士 動機づけ面接トレーナー

1984年岐阜大学医学部卒業、ミシガン大学文学部に留学(文化人類学専攻)。1985年神戸大学医学部精神科で研修。1986年国立肥前療養所精神科医師。1998年国立菊池病院精神科医長。2001、2002年ハワイ大学精神科アルコール薬物部門留学。2003年国立菊池病院臨床研究部長。現職は医療法人和楽会なごやメンタルクリニック院長、精神保健指定医、日本行動療法学会認定専門行動療法士、動機づけ面接トレーナー

岡嶋 美代
なごやメンタルクリニック/千代田心療クリニック心理療法士・専門行動療法士

2004年熊本大学大学院医学研究科修士課程(医科学)卒業。2005年国立病院機構菊池病院臨床研究部心理療法士,現在まで同臨床研究部共同研究員。2008年より医)和楽会なごやメンタルクリニック,また2014年より千代田心療クリニックにも勤務。


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