≪第3回OCDの会研修会・第4回市民フォーラム≫

【場 所】:大阪市科学技術センター(大阪市西区靭本町1丁目8−4)
【期 日】:平成20年2月16日(土)〜17日(日)


【研修会の特徴】
これまでの研修会で患者や家族の方々から,行動療法を学びたい,研修会に参加したいという要望がありました。菊池病院で毎月行なっていた集団教育プログラムを患者や家族のための行動療法基礎講座として開催することにしました。
 2日目は治療のデモンストレーションを行ないます。基礎講座を受けられた患者や家族の方で20名に限り,この行動療法実践編講座の受講も可能です。学生や一般の方々から治療者までそれぞれのニードに応じて基礎・実践・症例検討の3つのプログラムを個別に受けられるよう用意しました。



【日程】
1日目(2月16日)
患者と家族のための行動療法基礎講座
患者と家族のための行動療法基礎講座  基礎講座は、これから強迫性障害に対する行動療法を行なうために必要な知識を学ぶ集団教育プログラムです。一般の方が2日目の研修会に参加する為必要な知識を補うものです。医療関係者や学生も受講可。午後からは実際に治療が終わった数名の患者さんの体験談を企画しています。

10:00〜 研修会受付
10:30〜12:00 患者と家族のための行動療法基礎講座1
12:00〜13:00 昼食
13:00〜14:30 患者と家族のための行動療法基礎講座2
14:30〜15:00 質疑応答・まとめ


オープンミーティング

OCDの会の月例会を再現。患者本人と家族が分かれてお互いの思いや考えを語り合います。本人は強迫観念を恐れずに語れるように、家族は儀式行為を他人がコントロールしようとすることの問題を理解できるように目指します。

15:30〜17:00 オープンミーティング


症例検討会

13:00〜17:00 症例検討会


第4回市民フォーラム
18:30〜20:30(質疑応答含む)

『強迫性障害とは・・・その現状と治療』    大阪市立大学 松永寿人先生
『“それは妄想?” 統合失調症と間違われやすい子どもの強迫観念』  なごやメンタルクリニック 原井宏明先生


2日目(2月17日)
エクスポージャーと儀式妨害の実際(実践編)講座
9:30〜12:00  @治療場面デモンストレーションT(不潔恐怖のエクスポージャーと洗浄妨害)
           ATの治療場面ビデオを見ながら解説
12:00〜13:00  昼食
13:00〜15:30 B治療場面デモンストレーションU(災難恐怖のエクスポージャーと確認妨害)
           CUの治療場面のビデオをみながら解説, デモンストレーションTのフォローアップ
15:30〜16:00  質疑応答・まとめ・修了書授与


       




【基礎編でお話しして頂いた方々の感想

 大勢の方々の前で話をするのは、とても久しぶりでした。話をするまでの時間は、大変緊張しましたが、みなさん、あたたかい雰囲気で聞いてくださったので、話をしているときはそれほど緊張しませんでした。
OCDの会がきっかけとなり、菊池病院に行くことになったことや、3日間プログラムを受けたことなどを話させてもらいました。 大阪研修会では、久しぶりにお会いできた方々とお話したり、新しく出会いがあったりして、とても充実した時間を過ごさせていただきました。また、家族と一緒に参加しましたので、家族に、病気や治療について、よく知ってもらう時間をもつことができました。ありがとうございました。 (リス)


 昨年8月に行動療法を受けて半年後に、あれだけ大勢の人の前で自分の体験を話せる日が来るとは想像していませんでした。はずかしい事に何を話すかまったく考えていなかったので、行きあたりばったりで、かなり聞きづらい所もあったかと思いますが、自分が治療を通して感じた事や思っている事を率直に話せたと思います。
僕は行動療法を受けるまでも家族はもちろん先生方や先輩(?)患者さんたちなどのたくさんの人に助けられて治療を受けることが出来ました。今度は僕が今苦しんでいる人やどうにもならないと思っている患者さんや家族にOCDは自分でコントロールすることが出来て自分らしい生活を初められるということを少しでも伝えられていたらうれしいです。
 まだまだ目標に向かって一歩づつ歩いている途中ですが今回のフォーラムに参加させてもらい、人に話しをすることは相手に自分の気持ちを伝えるだけではなくて、自分自身の気持ちを確かめさせてもらいました。とても良い経験をさせて頂き、今回のフォ−ラムを支えて下さった皆様ありがとうございます。(岩魚)


 岩魚さんとりすさんのお話がとても上手でしたので、お二人の実際の治療での様子がよくわかり、娘の時と重なっていました。
 家族としては、真っ只中の時は娘はもちろん自分までもが強迫の巻き込みで日常生活さえ送ることも出来なくなり一緒にどん底にいました。どうしたらよくなるだろう。どれくらい答えれば納得してくれるだろう。
なぜ同じことばかり聞いてきて終わらないの?こんなに答えて言うことも聞いているのによくならないの?と辛い毎日でした。しかし、巻き込まれないようにすることで、娘もそして自分も変化していきました。
 行動療法を患者さんが受けるときはきっと家族もそこまでするのか!と驚くこともあるでしょう。しかし、こうして治療後、日常生活を生き生きとしている患者さんや家族を実際見ることで、治りたい、治って○○をしたい、強迫に振り回されない日常生活を送りたいと思ってもらえるように少しだけお話しました。
 私も、娘が治療を受けた時の衝撃はすごいものがありましたが、今は楽しく生活し続けています。
 時々強迫はささやくことがあるようです。『一回確認したら?やっぱり汚いよ!早くお母さんに大丈夫か聞きなよ。』と。
その時は、いつもどうなりたいの?このままでいいの?そう問いかけてあげます。
 そこから先は娘が自分で立ち向かって行きます。
未来に希望がなければがんばる!なんて思えないだろうと、こんなに学校に行くと楽しいことが待ってるよ大人になるってまだまだ楽しいことがいっぱいよ、稼げる大人になっていろんなもの買ったり、食べたり、遊んだりしなさいと言い続けています。
 そうするためには、不安であったり辛い目に合ってそれに慣れることも必要だから、学校に行くこと、友達とトラブルになることなどたくさん経験して社会人になってほしくて背中を押して学校へ送り出しています。
 今では生きてるといろいろあるし、いろんな人がいるよねと言えるくらいになりました。
 会場の質問に親はどう答えればよいのか?と聞かれたときにおそらく対応の実際がやっぱり悩むところなんだなとわかりました。
 ひとつだけお伝えしましたが、方法もたくさんありますしやっていくうちにコツをつかんでいくものだから、どーんと構えて揺るがない気持ちで子どもの泣き声や罵声に負けないでやります。その後は変化に感動するはずです。とはいうものの、はじめはドキドキするし罵声に負けそうになるし、泣きたいくらいでしょうがグッと我慢でやってみてください。
 あらー今までのやり方ちょっと違ってたのかしら?と誰かお一人にでも伝わったならと思っています。(あきの母)


【実践編でお話しして頂いた方々の感想
心理療法の一つにブリーフ・セラピーというカテゴリーがあるが、研修会のデモンストレーションでは、まさに「ブリーフ」セラピーを体験した。前日の原井先生との打ち合わせで、エクスポージャーをすることに同意はしていたものの、予想外の展開に戸惑いを覚えた。
他人のはいた汚れたパンツに触る、ましてや頭に被るといえば、単にきれい、汚いのことだけでなく、屈辱感のようなことも感じるはずだが、原井先生がOCD治療の専門家であるということへの信頼感、自分のものとはいえ、自らモデリングをしてくださったこと、それに、自分自身、職場復帰はしていたものの、何とか症状を改善したいという強い思いと、ユーモアのある雰囲気の中で、時間はかかったものの、僕も「飛ぶ」ことが出来たと思う。付け加えて言えば、一度、岡嶋先生と電話を使ってエクスポージャーの体験をしていたことも弾みになったのかもしれない。
ただし、これはオンラインのE&RPで可能であったが、家に帰ってからは、せっかくいただいたプレミアム・プレゼントを封印してしまった。オフラインのE&RPの難しさを感じた。
今現在は、OCDは完治していないものの、大分行動のレパートリーが増えてきたと思う。それから
仕事をしていることもあり、集中してE&RPをすることはなかなか出来ないが、「多忙は神の贈り物」という言葉を噛み締めながら、また人生を楽しむことを心がけて、生活したいと思っている。時には、岡嶋先生の背中を押してくれた手の温もりを思い出しながら…。 (路地)


<行動療法研修会のデモ患者に選んでいただけて ― 今の気持ち>
今思うこと、今、強く思っていることは、一言ではうまく言い表すことができないのですが、一言で
いえば私は幸せだということです。今もまだ回復過程の中にいます、そして、これから先も何があるかわかりません。それでも私は幸せだと思います。原井先生、岡嶋先生に出会えたこと、また治療して頂き、教えて下さったこと、言ってくださったこと、聞かせて下さったこと、私にとっては本当に宝物のようにとてもとても大切に思えます。
私は、変わり、変わることができ、またこれからの希望、何とかなるんじゃないかという思いが抱けたのです。
すべては大阪研修会が企画され、それに私が申し込んだことから始まりました。患者も勉強できることが嬉しかったのです。OCDの会の皆様、魅力的な企画をしてくださったことに感謝します。
たくさんの人の前でということは、私にとってはいい意味で逃げ道をふさぎ、また責任を感じてその後も頑張ってしまうというプラスの影響となり、回復を早めたと思います。
私は実際の暴露が嫌だったので、これで治るならと最悪のストーリーという話に魅かれ、プログラムを事前に確認しないでデモ患者に応募してしまいました。後で、実際の暴露(エクスポージャー)があることを知り、ヤバいと思いましたが、そんな私が、デモ患者に選んでいいただいていることを知ったのは、デモの前日でした。とらわれからの自由を読んで、私は先生方の治療をとても恐怖して嫌がっていました。最大のピンチでした!。
その最大のピンチを最大のチャンスに変える助けを皆様からたくさんいただきました。感謝しています。本当にありがとう。 (チョコ)




inserted by FC2 system