≪第4回OCDの会研修会・第5回市民フォーラム≫

【場 所】:日本教育会館(東京都千代田区一ツ橋2‐6‐2)
【期 日】:平成20年12月13日(土)〜14日(日)


【研修会の特徴】
昨年度、患者や家族のための行動療法基礎講座を企画したところ、治療者の方々にも好評でした。また今回も1日目に行動療法に臨むための知識と動機づけ、そして治療を行いやすくするためのコツについて新しい知見を加えてお伝えします。
 2日目は治療のデモンストレーションを行ないます。基礎講座を受けられた患者や家族の方で20名に限り,この行動療法実践編講座の受講も可能です。学生や一般の方々から治療者までそれぞれのレベルやニードに応じて基礎・実践・症例検討の3つのプログラムを個別に受けられるよう企画しました。


【日程】
1日目(12月13日)
患者と家族のための行動療法基礎講座
基礎講座は、これから強迫性障害に対する行動療法を行なうために必要な知識を学ぶ集団教育プログラムです。一般の方が2日目の研修会に参加する為必要な知識を補うものです。医療関係者や学生も受講可。午後からは実際に治療が終わった数名の患者さんの体験談を企画しています。
10:00〜     研修会受付
10:30〜12:00 患者と家族のための行動療法基礎講座1
12:00〜13:00 昼食
13:00〜14:30 患者と家族のための行動療法基礎講座2
14:30〜15:00 質疑応答・まとめ

オープンミーティング

OCDの会の月例会を再現。患者本人と家族が分かれてお互いの思いや考えを語り合います。本人は強迫観念を恐れずに語れるように、家族は儀式行為を他人がコントロールしようとすることの問題を理解できるように目指します。
15:30〜17:00 オープンミーティング

症例検討会

13:00〜17:00 症例検討会

第5回市民フォーラム
18:30〜20:30(質疑応答含む)
『強迫性障害の治療の実際−首都圏の現状をふまえた対処法を一緒に考えよう!』
     原田メンタルクリニック 原田誠一先生
 『私の大事な人がOCDに対処しない,私に何ができるだろうか〜強迫性障害と回復回避』
    なごやメンタルクリニック 原井宏明先生


2日目(12月14日)
エクスポージャーと儀式妨害の実際(実践編)講座
9:30〜12:00 治療場面デモンストレーションT
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:30 治療場面デモンストレーションU
15:30〜16:00 質疑応答・まとめ・修了書授与



        



【デモ患者をして下さった患者さんの感想】
 「基礎講座の午後の部に、親子で参加してもらえませんか」と連絡を頂いたのは、当日の5日前のことでした。予定されていた方のピンチヒッターということで、無理なら断っても大丈夫、と優しい言葉も添えてありました。大勢の方の前でのインタビュー形式の会話、しかも5日後なんて、心の準備がー!そんな小心者の私の叫びを、ググッと押し込めたもの。それは、「とらわれからの自由」を読み聞かせながら「いつかマリも『こうやって治せたよ』って伝えられる人になれたらいいね」「それいいねー!」と語り合っていたことを思い出したこと。
 それと、岡嶋先生に教わった「楽しいドロドロぐちゃぐちゃをたくさん経験させてあげて下さい」という言葉です。「ドキドキ」も、ドロドロぐちゃぐちゃの仲間かな、ととらえています。
 娘の広い世界が「怖いもの」と「大丈夫なもの」のたった2種類に分けられてしまった時、娘をエクスポージャーに向かわせたのは、ドロドロぐちゃぐちゃと一緒に笑っていた、以前の自分の姿なのでは、と感じています。長い人生の中には、悲しいけど又、再発する日もあるかもしれません。その時、娘を支えるのは、きっと、いろいろな経験の中で笑っていた自分の姿。小心者の私が、貴重な経験の邪魔してる場合ではありません。
 娘は、はりきって出演したけれど、ドキドキしすぎて一言も喋れませんでした。でも、笑顔を向けてくださったり、ほめてくださる優しい方にお会いすることができました。
 お母さんは、待っている間は落ち着かなくてちょっと嫌な気分だったけど、終わったらホッとして、もっと上手に自分の気持ちを伝えられる人になりたいなと思いました。マリはどんなふうに感じたのでしょう。
 チャンスをくださった先生、OCDの会の皆様、話をきいてくださった皆様、本当にありがとうございました。 (マリちゃんのママ)





私は、『確認』と『不潔』の症状があり、今はどちらかというと『確認』の方が強いです。発症は小学生の頃にまで遡り、三十数年以上OCDと付き合っています。その間、OCDとも知らずに自分自身で克服してきた症状もありましたが、服薬することもなく、現在は、原井先生、岡嶋先生の下、行動療法での治療を継続中です。?私が研修会デモに参加しようと思ったきっかけは、1年程前の大阪研修会に患者として参加して、初めてOCDの会の方々にお会いし、自分がOCDの『病気』である事を受け入れられる様になった事に始まります。
東京研修会デモにおいて、私は『確認』の患者として参加したのですが、実際に『不潔』の方の治療を目の当たりにし、自身で試みる事によって、むしろ結果的に『不潔』の治療が進みました。具体的には、トイレの便器を触る等のエクスポージャーを見ている時、これまでにない嘔吐感が突然湧き上がって来ました。自分でも何故、これ程までに気持ち悪くなるのか分からず、過去の自分に何があったのだろうと大変戸惑いました。昼休みになって、感情の昂りを抑えきれず、岡嶋先生に声を掛け話をすると、何故か涙が溢れてきて感情が噴き出し、少し落ち着いて来ました。その後、何故、嘔吐感が湧き出したのか、原因を知りたくて、過去の自分に何かあったのか?、それとも単に便器が汚いとの思いで起きたのか?の仮説を立て、自分一人で実験してみました。先程のトイレに入り、自ら小便器の内側を触ってみました。込み上げる嘔吐感。そう、私は単に便器が汚いとの思いで身体反応が起きたのでした。納得するとともに、誰から言われるでなく、自ら進んで便器を触ったことが大きな体験となりました。研修会が終わって、その後も自分でエクスポージャーを継続しています。今では、自宅のトイレですが、便器を掃除しています。
? 最後に、現在患者の方に、私が1年程前に大阪研修会のデモを見て、心が動いたのと同様に今回の東京研修会の私のデモを見て、自分も行動療法をやってみようと行動される方が出てくることを期待するとともに、治療者の方へは、OCDという多様な症状の行動療法治療に携わる方が一人でも多く増えて欲しいと切に望みます。    (ターボー)





『強迫性障害を自宅で治そう! 』の事例を何度も読み返して、ため息をついていました。「これができればすべてが解決するんだろうか。でも、ひとりでやるにはあまりに恐すぎる。」
 ところが、この本を教科書となさっている原井先生・岡嶋先生たちが、私がなんとか行ける場所にいらっしゃる! これは千載一遇の好機! そして、聴講できるだけでなく、デモ患者に採用していただきました。なんて運のよいことかと思いました。
 当日は本書のよりもさらに強烈なエクスポージャーも行いました。が、私がうそをついてしまい、実際にはやれていません。しかし、それでも本書のとほぼ同等のことができたこと、また、面接で自分の本当の生きがいを思い起こさせていただいたこと、基礎講座で不快・不安・恐怖などいやな気分を全身で「味わう」という心構えを教わったこと、 OCD の会の人たちと歓談できたことなどなど――これらのお陰で、私は、いま、15年以上苦しめられてきた強迫観念に、支配されなくなりました。    (荒い改めアラワン)



inserted by FC2 system