※ 読者の声(1) ※


言いっぱなし聞きっぱなしの力       

 2005年に初めて熊本OCDの会に参加しました。あれからずいぶん時が流れ、その間に患者であった娘は自分でOCD卒業を宣言し、ごく普通に社会人への道を進んでいます。私はずっと会に拘わらせていただいています。そうして今でも毎回、毎回「言いっぱなし、聞きっぱなし」の威力を再認識しています。
 人の話を聴くということと、自分自身の体験を話すということで自分を見つめる機会をもらっています。聞いたこと、話したことが黙って自分の心の中で重なり合い、自分はどうしたいのか、実際にどう行動するのか覚悟が決まっていきます。どんな小さなことであっても、自分自身で決めるというのは気持ちが良いのです。
 熊本OCDの会に初参加の折には参加する前から「会に参加して患者の症状が悪くなるということはないですか?不安です。」などと質問メールを送りました。名古屋の会の世話人になったばかりの頃はこらえ切れずに泣かれるご家族と一緒にもらい泣きしていました。近ごろようやく他人の涙もそのまま一緒に聞きっぱなしで居られるようになりました。
 名古屋の会の参加者も初めての時は私がそうであったように不安な表情です。それが閉会の時間になるとにこやかに、自分は人と話すのが苦手なんですと、あちらから話しかけてくださいます。「言いっぱなし、聞きっぱなし」誰も私を値踏みしない、誰も私を責めない、誰も私を否定しない、ただそのままに私が私で居られる場所。だから、会の終りは誰もが和気藹々の穏やかな空気になるのか!!最近気が付いた“威力”です。
 OCDの会も十周年、各地に新しい会が育ちつつあります。会の成長とともに、個人としても育ててもらった感慨があります。一番初めの種を播いてくださった原井先生に感謝しています。


                                              (みうら)

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