※ 「とらわれからの自由」の執筆者は今(1) ※


OCDの会が毎年発行いたしております「とらわれからの自由」。今までたくさんの方々が体験談を書いて下さいました。7号と8号の執筆者のWaikoさんにその後の様子を書いていただきました。


♪病気が良くなってから3年目を迎えました♪        (Waiko)
 病気が回復し始めた年に、私はかねてから飼いたいと望んでいた犬を飼い始めました。飼い始めて思ったのは、今までは意識はしていなかったけど、私は結局、自分のことだけしか考えていませんでした。悩もうが苦しもうが、自分のためだけに生きていたように思います。でも犬を飼い始めると、自分が不安で具合が悪かったりしても悩んでジッとしていることも、何度も強迫行為をして時間を費やしてしまうわけにはいかなくなりました。自分のことばかりを優先するわけにはいかなくなりました。私が世話をしなければ犬は死んでしまうからです。また私が悩み込んでジッとしたり何もしないでいると、犬も悲しそうな顔になり元気が無くなります。訓練士の先生によると、犬はとてもデリケートな心を持っている動物なので、飼い主の状態を敏感に察知し、飼い主が悲しんでいると犬も悲しむのだそうです。なので私がしっかりしていなければ、犬まで不幸にしてしまいます。この犬を飼うという経験は、私が犬好きだからかも知れませんが、何だかそれを超えて、自分以外の者のために生きるというか、自分を差し置いても守るものが出来たというか、その事は私が悩みの渦にグルグルに巻かれそうになったりする時に、強制的にでも現実に引き戻すためのきっかけになっています。時々ケンカになる時もありますが、でも、この犬には本当に感謝しています。
 それから、怖いものを避けてビクビクしながらも、ある時にエイヤッと体験して、その後、ああ平気だったのかと慣れていくというのを犬もやっています。臆病で神経質なところのある慎重な子で、たとえば始めは玄関のドアをくぐるというのが出来ずに、外に連れて行こうとしても足を踏ん張ってイヤがり、部屋の中に逃げてしまっていました。でもある時に、すごくビクビクしながらも、おそるおそる足を一歩踏み出しました。身体に触ると心臓がバクバク波打っており、身体が緊張で硬直していました。頭をかがめて緊張と警戒の姿勢を取りながらギクシャクと歩き出したうちの犬。数日そんな状態が続いていましたが、そのうち自分から進んで外に出るようになり、今では外出が大好きな犬となっています。 
犬なりの行動療法のようなことをしたのだろうか?と苦笑したのですが、こうやって動物は未知なるものに対する警戒に自然に挑戦し、自然に慣れて平気になっていくのかと思った次第です。危険なのでは?と思うものにも生きていくためにはいつかは挑戦しなくてはならなく、誰でも不安で嫌なものだけど、本能にそれに挑戦して慣れるというのが備わっているのかも知れないな、と思いました。そして未知なるものに対してビクビクとおそるおそるなのは自然なことなのかも知れないな、だから犬よりもっと複雑な思考回路を持っている人間の自分がアレコレ心配したり怖がることだって、何も特別なことじゃない、慣れて行けば良いだけなのだ、当たり前の自然現象なのかも知れないと、この犬から教わった気持ちがしました。私が暗い顔をしていると以心伝心で悲しげな様子をすることが多いので、この子のためにも明るい顔をするようにして、しっかり生きようと思います。



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