※ 各地からのたより(3) ※


東京OCDの会から


●東京OCDの会から ―体験談を含め、3人の世話人でお送りします―
東京OCDの会、世話人の「チョコ」です。東京OCDの会は、活動を始めて今年で4年目になります。参加者の数は年々増えていましたが、今年になって、ついに会場に入りきらないほどの人数(多い時は60〜80名)になりました。参加者が多いことについては、東京という地域性もあると思いますが、この数年の間に、この病気の存在、会の存在がたくさんの方の目に留まるようになった、というのがその大きな理由だと思います。今年は、先生方の本「図解 やさしくわかる強迫性障害」の出版がありました。10月には、NHK朝イチの放送があり、東京の会も取材を受け、テレビで紹介していただくことになりました。その結果として、会場いっぱいに集まった多くの参加者を目の当たりにし、この病気に困っている患者さん家族がどれだけたくさんいるのかということを、ひしひしと肌で感じ、世話人としてまだまだやることがいっぱいある、そんな思いにさせられています。
そんな規模の変化に応えるため、10月から、月例会の開催日時を増やす試みを行っています。同時に、こうした変化に応えるためには、この会の存続のためのしっかりとした基盤(体制強化を図る)を作ることが必要だと考えています。現在、世話人を増やすため、世話人となっていただけそうな方に声をかけて、徐々にそのメンバーを固めている最中です。来年一月には、東京の会初めての世話人会開催を計画しています。ここで、新しく世話人になっていただけることになった「ラムさん」、「小春日和さん」を紹介したいと思います。 体験談を書いてくださいました。


 来年から「東京OCDの会」の世話人をすることになりました「ラム」です。
私は長年「不潔恐怖」に苦しみ、今夏やっと「行動療法」に踏み切ることができました。 自分の恐怖を受け入れることは簡単なことではありませんでしたが、会に参加し、実際に「行動療法」で回復している方たちに接し、行動療法への「不信感」「不安感」を「勇気」に変えることができました。16時間以上かかっていたお風呂が30分程になり、気が付いたら鼻歌を歌いながら洗っていたりします。トイレ後の手洗いも2時間以上から3秒くらいまでになりました。今でも「怖い」「汚い」「キレイ」「嫌だ」と言う感情、感覚は前と変わらず湧いてきます。それでもその気持ちを打ち消すことはしません。我慢もしません。ただただ受け入れるだけです。最近では「不潔恐怖」はすっかり大人しくなり、さほど気にならなかった「不完全恐怖」の方が気になるくらいです。分からないことばかりでご迷惑をお掛けすると思いますが、わたし自身の「行動療法」も兼ねて出来る限りのことをしたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。


40代男性縁起恐怖の妻(小春日和)
私の主人は強迫性障害です、主に縁起恐怖です。11年間、近くの精神科へ掛かっていましたが、症状がどんどん悪化し、去年あたりからここには書ききれないくらいの強迫儀式、家族への巻き込みが酷くなり、もう家族で限界でした。そんな時「なごやメンタルクリニック」の存在を知りました。そして今年の2月からなごやメンタルクリニックで「行動療法」を受けることができました。原井先生岡嶋先生にお世話になり集中治療プログラムも受けて、確認や儀式でまっすぐ歩けなかった主人がまっすぐ歩けるようになりました。そして家族の対応も先生たちに指導してもらい、巻き込まれることもだいぶ減りました。今は横浜クリニックで岡嶋先生のカウンセリングと薬物治療を受けています。カウンセリングの度に主人も私もよい方向へ変化して行っています。おかげさまで休職していた主人は復職することができ、家族でほぼ日常を取り戻すことができています。ですが、行動療法を教わってまだまだ修行中の主人は、不安になると強迫の芽が顔を覗かせて、また儀式と確認にハマってしまったり、私や同居をしている義母、娘たちを巻き込んでしまう時もあります。
家族の対応を心理教育してもらい頭ではわかっていても、まだまだ私も修行中の身、「エクスポージャーしないのかな?」とイライラしたり、理不尽な態度、暴言に言い返してしまったりすることがあります。うまく流せる時もあれば、完全に心理的に巻き込まれてるなぁって思うこともあります。主人も始めから治療には後ろ向きで今だに前向きではありません。そんな主人を見ていて行き詰まり、どうしようもなくなったりすることも度々ありました。
そんな時に、OCDの会に参加してみようと思いました。名古屋で教えていただいたOCDの会、勇気がなくて参加できずにいましたが、思い切って私だけですが参加してみました。初めて参加した時は、やはり来てよかった!!と思いました。同じ立場の方が今の状況をお話しているのを聞くだけ、私も今までの治療の経過と今の状態をお話するだけ(言いっぱなし聞きっぱなしがルール)でしたが、「私みたいに悩んでいる人がこんなにいるんだ、一人じゃないんだ!!」と気持ちがとても楽になりました。話せる場所があるってすごいことだなぁって思いました。一人で悩みを抱えていた11年間を思い出したら尚更でした。私の周りには強迫性障害の家族を抱えている大変さをわかってくれる人はいませんでした。話は聞いてくれるけど、理解してくれる人はいませんでした。このOCDの会を立ち上げてくださった方々、今でも運営し続けてくださってる方々に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そして「とらわれからの自由」を読み進めていくうちに、先生や世話人さん、患者さん、家族の方、皆さんのいろいろな思いが詰まった素敵な会なんだな!ということにも気が付きました。知らないところでこんなにもいろいろな人がこの病気のために尽くしてくださっているのだと思ったら、更に感謝の気持ちが溢れました。
もう一人で悩まなくていいんだ!ととても心強く安心しています。いつか主人にもOCDの会に参加してほしいと思っていますが無理に誘わずに見守ることにしています。 OCDの会で家族の方のお話を聞いたり、同じ境遇の家族の方と交流を持たせてもらったり、ブログを読んでコメントして交流させてもらったりして、いろいろな事に気付かせてもらっています。「見守る」という大事なことが、「見張る」になってしまっていたことも気付かせてもらいました。エクスポージャーをしない主人を急かしたり、口を挟んだりしては、自分で気付いて行動するという芽を摘んでしまうことになるということにもやっと気付きました。

この前こんなことがありました。
主人:「朝ごはん、先に食べようかな、でもいつもと違う事したら悪い事が起きちゃうかな…」とつぶやいてきました。
私 :「食べるなら、作っておくね!」と朝ごはんを作って待っていたら、二階から降りてきて、テーブルに座って、また聞いてきました。
主人:「お風呂より先に食べたら、悪いことが起こるかな?大丈夫かな?いや!悪いことは起こるんだよね!」と言いました。
私 :「そうだよ、悪いことは起きるんだよ」
主人:「そうだよね、悪いことは必ず起きるんだよね、いただきます」と食べ始めました。
不安を抱えながら行動することができたのです。お風呂に入ってから朝ごはんという崩したくないいつもの順番を崩したのです。後ろ向きだとばかり思っていた主人の成長を目の当たりにし、私は朝から感動して主人に気付かれないように泣きました。私たちは確実にあの頃とは違います。私たち夫婦に関わってくださった皆さんのおかげで、いろいろなことに気付き、前へ進むことができています。


最後に、最近、会に寄せられた感想を少し紹介させていただきたいと思います。
「最近の会について思うこととして、人数増えてきてみんなの前で話すの緊張してしまう。皆の前で話すのは苦手。」
「治療に関しては、私なかなか行動療法に踏み切れないでいます。それでは、どうして会に来るのかと、言われてしまいそうですが^^;。やはり同じ強迫で悩んでいる人達と、共有出来る時間は有難いです。普段一人で悶々と考えている事も、誰かと話せると嬉しいです。」
本当に、様々なニーズがあり、参加してくださっている方の状況も様々だということを感じます。至らないことは多々ありますが、皆様の声を聴きながら、会として大事な点は維持しつつ、今後も世話人として、出来ることを行っていきたいと思っています。世話人一同、皆様にお会いできることを楽しみにしています。
                  (チョコ)



◎東京OCDの会 ホームページ
http://109ocdf.web.fc2.com/index.html


◎会へのお問い合わせ先
 電話:080-1334-1167
(留守番電話にお名前とご用件を残して頂ければ、後でこちらからお電話いたします)   
 mail:tokyo.ocd@gmail.com

 世話人はボランティアのため、回答が遅れることがございますがご容赦ください。




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